おいらが思うに多分、女王様は自分が用を足した後、何も考えずにスリッパを脱ぎ捨てて出て来てたんだろうなああ。んでも、それでは次にトイレに入る人にとっては、非常に使いにくいではないのヨ、え?
つづく...
あおむし
トイレに入ろうと思って扉を開けたら、スリッパがこっちを向いていて、コンニチハって、おいっっっ!!
つづく...
あおむし
スリッパを履くためには、その場で体の向きを180度回転させてから、敷き居に足の小指を打ち付けないように注意しながら、後ろ向きでスリッパに足を突っ込まなければならないではないかああ。
つづく...
あおむし
あるいは、スリッパの上に1歩踏み出して、その上に乗っかった状態で半回転し、自分の体重で潰れてしまったスリッパを、うんしょ、うんしょ、と足の指で広げるという器用な技を使わないと、スリッパが履けないということになってしまうのねん。
つづく...
あおむし
コレは難儀だ。
なぜなら一般的に考えて、人がトイレに行く時って言うのは、生理的にある程度差し迫った状況になるからこそ、ワザワザ体を動かしてトイレと呼ばれる小部屋に、用を足しに行くワケだったりするからである。
つづく...
あおむし
それがアンタ、スリッパを履くのに、そんな回りくどいことになっていたら...どうでしょう?
つづく...
あおむし
おいらももう立派な(?)大人だから、そんなことは無いとは思う。無いとは思うけれども、もし万が一、トイレ用のスリッパを履くのにモタモタしていて、間に合わなくなってそそうをしてしまったら、どうするのヨ、え?
つづく...
あおむし
そんなことが、多分無いとは思うけど、絶対に無いとは誰にも言い切れんのではないか?
つづく...
あおむし
だからこそ世間(日本)では、次に入る人が困らないように、トイレのスリッパはかかとを扉の方に向けて脱ぐのが礼儀、というか常識になっているんではないのか、え?それを女王様、アンタってお人は...。
つづく...
あおむし
しかも、またエラく扉から離れた、とおおおくの方に脱いであったりするのヨ、またコレが。
つづく...
あおむし
前にも書いたが、何しろ女王様は自分以外の人間の使い勝手は考えずに「放置」する、という必殺技を繰り出すお人だかんなあああ。んだから、このトイレのスリッパの脱ぎ方をやめさせるのに、おいら戦いましたヨ...1年程。
つづく...
あおむし
んだけども、どんなに女王様がつま先を扉に向けてスリッパを脱いであろうとも、どんなに扉から遠く離れた所に脱いであろうとも、おいらがトイレから出る時には必ず、スリッパのかかとを扉側に向けて、扉からおおむね20センチ程の所に脱ぐようにしたのねん。
つづく...
あおむし
もちろん、女王様はトイレのスリッパの脱ぎ方なんて、まったく気にも留めていなかったから、暫くはおいらが何度直しても、スリッパはまた元のように、扉からとおおおくの方に反対向きに脱いであった。
つづく...
あおむし
んでも、おいらも「負けるもんか」と鉄の意志をもって「おいら流」のスリッパの脱ぎ方を、貫き通したのねん。
つづく...
あおむし
あおむし家の場合、別にトイレのスリッパの脱ぎ方について、お互いに文句を言い合うようなことはないので(会話そのものが成り立たないかンなああ)、ただそこにはトイレという閉鎖された小部屋における、おいらと女王様の無言の「戦い」の日々が続いていただけだったんだけど、ね。
つづく...
あおむし
ところが暫く経つと、おいらが必ず決まったスリッパの脱ぎ方をしているという事に、流石の女王様も気が付く時が来たのヨ。
つづく...
あおむし
そんでもって、「こんニャロめ、アタシのやり方に従わないとは、ナントこしゃくなあ」と思った女王様は、女王様に反発するおいらに反発して、より一層扉から離れた所にスリッパを脱いだり、あるいはてんで明後日の方向に、スリッパを脱ぎ散らかして行くようになったのねん。
つづく...
あおむし
んまあ、女王様なりの自己主張ってヤツですナ。
つづく...
あおむし
他人を支配したがる女王様は、おいらが彼女の流儀に従わないことに腹を立て、んもお徹頭徹尾反発しまくるのだったりする。んだけれども、おいらも譲らなかったりするのねん、うひゃひゃ。
つづく...
あおむし
ところが、反抗期がしばらく続いた後、それでもおいらが態度を改めないということが分かると、女王様は面倒臭くなったのか、直接的な反発行動を諦めたのねん。
つづく...
あおむし
こうなれば、おいらの勝ちである。少なくともおいらは勝手にそう思っているんだけどね...。
つづく...
あおむし
1年程続いたおいらの「戦い」の甲斐あってか、ここ数年は扉からそう遠くは無い地点にスリッパを脱ぐという芸当が、ようやく女王様にもできるようになったのねん。名作ゲームのドラクエで言うなら、パララッパッパッパー、女王様はレベル25になりました!って感じですかね。
つづく...
あおむし
と言っても、女王様はかかとを壁の方に向けて、扉側から見ると横向きにスリッパを脱いであるんだけど、ね...。
まあ、イイぢゃないのヨ。そこは、おいらも妥協したのねん。「戦い」続けるのも楽ぢゃないし、ね。
おわり
あおむし
去る8月1日、我が家の住人の1人、いや1匹であった猫のミケコが天国へと旅立った。
つづく...
あおむし
ミケコはんは、今年4月末に肛門腺破裂の大病を患ってから、一時的に回復はしたものの、その後6月の終わりに再び体調を崩し、約1ヶ月間のの闘病生活の末亡くなった。
つづく...
あおむし
ちょうど6月も半ばを過ぎた頃だったろうか。ミケコはんの食欲が落ちて来たので、おいらはまた肛門腺に脂が溜まって来たせいかナと思い、かかりつけの動物病院に連れて行った。んで、その前の月と同じように、肛門腺の脂を絞り出してもらったのねん。
つづく...
あおむし
ところが、前の月は脂を絞ってもらった後には食欲が回復したのに、今回は一向にその気配がない。それどころか、どんどこ食欲がなくなって、とうとう何も食べなくなってしまった...。
つづく...
あおむし
肛門腺破裂の時も何も食べない日が1週間近く続いたことがあって、その時は病院のセンセに「猫の1週間は人間の1ヶ月なんですヨ!」とエラく叱られたもんだから、おいらと女王様は手を替え品を替え、水分たっぷりの缶詰めフードやら、おやつ用のササミジャーキーやら、煮干しやら、何とかして食べてもらおうと試みた。
つづく...
あおむし
んだけれども、ミケコはん、食べようとはするんだけど、口に入れると気持ちワルイのか、吐いてしまうのヨ。
つづく...
あおむし
もちろん前回の教訓を得て、今度は1週間も経たない内に、女王様を急かして早めに(おいらとしては早めに)ミケコはんを病院に連れて行ったんだけれども、はっきりとした原因はこの時はまだ分からなかった。
つづく...
あおむし
そして更に数日が過ぎ、具合が日に日に悪くなるミケコはんを、もういっぺん病院に連れて行った時のことだった。
「肝臓が大分悪く、かなり危険な状態です」と言われた。
つづく...
あおむし