しかし、おいらの住んでいる所では、コレが極日常の風景だったりする。
写真からもお分かりいただけると思うが、我が家のトイレットペーパー・ホルダーは、今使っているのの他に、真新しいトイレットペーパーのロールをもう1コ収納しておけるようになっていて、常に新品のペーパーが1コストックされた状態になっているのヨ。
つづく...
あおむし
問題は、誰かが紙を使い切ってしまった時でも、この新品のトイレットペーパーを補充する人間が、おいら以外にいないということなのねん。
なので、上の段のトイレットペーパーが無くなって、半分ぐらい芯が見えた状態になっているのに、下の段には新品のトイレットペーパーが、したり顔でぶら下がっていたりする...。
つづく...
あおむし
あのなああ。
誰かがトイレを使用中にトイレットペーパーを使い切ってしまった場合、そこに補充するべき物件が用意されていたのならば、紙を使い切ったその人の責任において、新しいものと空の芯を取り替えておくというのが、おいらは常識だと今まで思って来た。
つづく...
あおむし
自分が紙を使い切ってしまった場合には、(もしそこにあるのなら)新しいトイレットペーパーを補充しておくのが、後に続く人への思いやりってもんで、自分の後に(トイレに)入った人が、トイレットペーパーを使おうとした時になって、紙がないことに気付いてイヤアアアな思いをしなくて済むようにという、いわばエチケットなんではないかと、おいらは思って来たのヨ、ね。
つづく...
あおむし
ところが、おいらの家ではこのエチケットが、まるでなかったみたいなのねん。
何よりもおいらを、ものすんごく憂鬱にさせるのは、おいらの他にそのトイレを使用するのは女王様しかいないのに、使い切ったトイレットペーパーの芯を取り出して、下にぶら下がっている新しいトイレットペーパーを代わりにセットするという作業を、どうも、このオバハンは面倒臭いと思っているようで、新しいトイレットペーパーがそこに準備してあるにも関わらず、ほぼ必ず使い切ったペーパーの芯を、長さにして約1.2センチ程の紙が僅かに巻き付いている状態のまま放置するので、結局いつも彼女が面倒臭いと思っているであろうその作業を、おいらがするハメになるということなのヨ...。
つづく...
あおむし
ここで、おいらが「ほぼ必ず」という表現を使ったのは、100パーセント毎回ということではないからで、女王様でもタマには補充したりするからだ。んだけれども、大抵トイレットペーパーを交換もしくは補充するのはおいらの方で、まあ10回の内9回は、間違いなくおいらがやっているのねん。
つづく...
あおむし
ココらでちょっと想像してみていただきたい。トイレに入って用を足し、カラカラカラ〜ンとトイレットペーパーを引き出そうとしたら紙が無くなってしまい、手にはどう考えてもコレではお尻をふけないだろうと思われる大きさの切れっ端だけが残っている、そんな状況を。
つづく...
あおむし
コレだけなら、まあ、まあ、イイではないの、よくあることヨ、とおっしゃる向きも多いでしょうヨ。んでもね。4、5回トイレに行く度に1回の割り合いで、こんな状況に遭遇していたとしたら、どないでっしゃろ?
つづく...
あおむし
更に、だ。コレがあなたにトイレットペーパーを交換させるために、意図して仕組まれていたことだとしたら?それも、あなた以外に唯一そのトイレを使用している人間が、自分で交換するのが面倒臭いという理由だけで、仕組まれていたんだとしたら?
ちょびっつ、憂鬱になったりしませんかのう?
つづく...
あおむし
ま、そんなワケで、おいらもすっかりイヤになって「ええ加減にせえよ」モードに突入していたのヨね。ところが最近、この憂鬱をある意味楽しむ方法を発見したのねん。
つづく...
あおむし
ある日突然、おいらはコレが子供達がよく砂場なんかでやる、「棒倒し」のゲームにそっくりであることに気付いてしまったのねん。「棒倒し」とは、砂を山のようにこんもりと盛り上げたてっぺんに棒を1本立て、ゲームの参加者が交互に山から砂をすくい取って行き、棒を倒した者が負けという、みなさんお馴染みのあのゲームである。
つづく...
この「棒倒し」ゲームをおいらのこのトイレ事情に当てはめると、さしづめおいらが女王様を向こうに回したトイレットペーパー補充ゲーム、「トイレットペーパーを交換するのはアンタかおいらか」を戦っている、といったところだろうか。
こんな風にゲームだと考えれば、憂鬱になるような状況にも、少しはガマンできるんではないかという、まあ、これも一種の生活の知恵ってヤツなのねん。
つづく...
あおむし
その日から、おいらと女王様のトイレットペーパー合戦が始まったのねん。
女王様が中途半端に1.2センチ程のトイレットペーパーを残そうものなら、おいらはケンカ上等とばかりに、女王様が入るまでトイレに行かないようにした。そうすれば、さっきの「棒倒し」で言うなら、棒を倒すのは彼女ということになり、つまりオバハンが用もなくトイレに入ったんではない限り、女王様がトイレットペーパーを補充することになるのねん。
つづく...
あおむし
トイレに入った時にトイレットペーパーが残り少ないことに気付くと、おいらはこのゲームに勝利するために、1トイレで使うトイレットペーパーの量を減らすといった調整をした。
そんでもって、トイレに行く回数やタイミングも、調整したりなんかりしたのねん。
つづく...
あおむし
それにしても、憂鬱になりがちなこのトイレットペーパー合戦をゲームと捉えたのは、我ながらなかなかいいアイディアだったと思うゾ、うひゃひゃ。おまけに、トイレットペーパーの使用量を減らしたりするのは、間違いなく地球環境にもやさしい効果を生むハズである。これこそまさしく、「一石二鳥」ってヤツではないのか、え?
つづく...
あおむし
とは言え、女王様の番の時にちょうどトイレットペーパーが無くなるように、ペーパーの使用量を調節するには、意外とスキルってもんが必要なんだけどね。
つづく...
あおむし
おいら、暫くこのトイレットペーパー合戦をやっているんだけれども、敵もさる者で、これがまた微妙な量を残して来たりするのヨ。んだから、あとどの位使えばトイレットペーパーが無くなるのか予測をするには、おいらのチンチクリンな脳ミソを、フル回転させねばならなかったりするのヨね。ううう。
つづく...
あおむし
んでも、脳ミソを使うってことはボケ防止にもなるだろうから、もしかしてコレは「一石三鳥」なんではなかろうか。てことは、憂鬱な思いをする代わりに、ゲームが楽しめて、頭の体操になるからボケ防止にもなって、しかも地球環境にやさしいワケで、こんな方法を思い付くなんておいらは天才かもしれん、と思ってしまうのねん。うひゃひゃのひゃ。
つづく...
あおむし
おいら別に女王様に、このゲームに参加するかどうか確認したワケではないから、まあ、1人で勝手に楽しんでいるだけなんだけれども、それにしても女王様のつまらんワガママのせいで、ムカッ腹を立てたり憂鬱になってイヤアアアな思いをするよりは、ずっとマシなんではないかと思ったりする。
つづく...
あおむし
そんでもって、別に記録を付けていたワケでもないから、女王様とおいらのどっちが何回勝って何回負けたか、てなことは定かではないんだけれども、ここ数カ月はおいらが勝っているんではないかと思うゾ。
つづく...
あおむし
と言っても、この2週間ほどは、おいら他に心配せねばならんことがあって、このゲームにあまり気持ちを割いている余裕がなかったので、まあ1週間位は負けているかもしれん。
つづく...
あおむし
しかしながら、心配していた問題も無事解決したので、そろそろ巻き返しを計らねばならん、と気合いを入れていたら、「巻き返し」という単語の「き」を打ち込んでる辺りから、おいら催して来たのら。
つづく...
あおむし
そこでおいらは席を立って、「よっしゃ」と意気揚々とトイレに向かった。
用も足してスッキリして、トイレットペーパーをカラカラ〜ンって、おおおおおいいいいっっっ!!
つづく...
あおむし
まるでおいらに交換してもらうのを待っているかのように手付かずのまま、新品のトイレットペーパーが脳天気にユラユラと揺れているホルダーの上の段には、1ミリの紙も巻き付いていない哀れな姿になった裸の芯が、申し訳無さそうに残っていたのねん...。
つづく...
あおむし
や、やられた。
んでもなあああ、女王様、そんなのはなああ、今日だけなんだかんなああああ!覚えとけヨ...。
おわり
あおむし
先日いつものように、おいらが駅から家までの帰り道をトボトボと歩いていると、前方から女の人が歩いて来た。
つづく...
あおむし
おいら、普通にすれ違うところだったんだけれども、顔が見えるぐらいの距離まで近付くと、何やらその女のシトがいきなり喋り出した...って、周りには他に人っこ1人見当たらなかったので、多分おいらに言ってたんだと思う。
つづく...
あおむし
おいら、いきなり見知らぬ人に話し掛けられて、ビックリしてまって、一瞬頭ン中が大混乱状態に陥ったのねん。
そんでもって、とっさに身構えた。んだって、分からんではないか。もしかしたらニュースなんかに出て来る、「おかしな人」の類いかもしれんではないかああ。
つづく...
あおむし
おいらの脳ミソが混乱状態になっている間、オネーチャンはひたすら喋り続けていた。おおむね4.3秒後、ようやくおいらは彼女が喋り続けているその言葉が、日本語ではない別の国の言語であることに気付いたのねん。
つづく...
あおむし
もちろん、彼女はおいらにとっては全く見ず知らずのあかの他人だったし、彼女が「おかしな人」である可能性が完全に打ち消されたワケではなかったんだけれども、それでも別においらに飛びかかって来る風でもなければ、危害を加える様子もなさそうだった。それに、一般的にはたいがい何かしら金目のものが入っているであろう、おいらの右腕に引っ掛けられていたカバンを奪おうとする気配も、別になかった。
つづく...
あおむし
おいらは混乱した脳ミソに「落ち着け」と命令し、彼女がまくしたてている言葉に耳を傾けてみることにしたのヨ。
むむむ、この音からして、これはどうやら中国語なんではなかろうか、ということまでは分かったんだけれども、残念ながら不祥あおむし、人生において中国語を勉強した経験が、ただの1度もないもんだから、何を言ってるのかは、サッパリ分からんかったのねん...。
つづく...
あおむし