日本の食べ物と飲み物
日本の食文化
先の世界大戦後のこの60年の間に、日本の食べ物は広い意味で大きく変わってきました。
もともと日本の食事というのは、主食である米と、魚介類や野菜や果物といった、副菜(おかず)で成り立っていました。けれども太平洋戦争を境に、日本の食事を取り巻く環境は大きく変わります。戦後の復興や発展と共に、それまで厳しかった食料事情は回復しますが、急激な経済成長を背景に、日本人はより豊かな食生活を求めるようになりました。
現在では、米の代わりにパンを食べたり、魚介類や野菜、果物の代わりに肉を食べるといった、欧米風の食習慣が若い世代を中心に広がっていて、昔から食べられて来たような日本食(和食、日本料理)を家庭で食べる機会は、ずいぶん減ってしまいました。特に都心部では、日本人のライフスタイル(生活習慣)が欧米風に変化しているのに応じて、食事も欧米風に変わって来ているようです。また最近では、家庭で食事を作って食べるよりも、外食をしたり、出来合いの料理を買って来て食べたり、あるいは宅配(デリバリー)を利用したりして、簡単に食事を済まそうとする傾向も強まっているように感じます。(このような変化は、海外から大量に輸入される安くて豊富な食材や、経済成長に伴う外食産業の発展に依るところも大きいのではないでしょうか。)
日本の食べ物や食習慣は、昔と比べると色々と変わっては来ましたが、それでも日本食(和食、日本料理)の文化は、変化を受け入れながら確かに受け継がれ、そして今もなお発展を続けています。アメリカやヨーロッパなどでは、和食(日本料理、日本食)の持つ健康パワーが注目されていて、ちょっとした和食(日本料理、日本食)ブームが起きているようです。
和食(日本料理、日本食)は、もともと魚介類や野菜が中心の構成になっているので、低脂肪でありながら良質な植物性タンパク質や、食物繊維を多く含んでいると言われています。だし汁を使って調理し、醤油や味噌、塩などでシンプルに味付けされたものが多く、味は素朴であっさりとしていますが、豊かな香りを持つのが特徴です。また、様々な大きさや形の器に盛り付けられた、視覚的な美しさも日本料理(和食、日本食)ならではの魅力と言えるでしょう。
今や日本食(和食、日本料理)は、健康的な食べ物として世界で注目を浴びる存在となっていますが、日本食離れが進んでいる現在の日本の状況を考えると、これはいささか皮肉な出来事ではあります。ですが、日本食の持つ魅力や良さについて、この記事を読んで下さっている皆さんに(日本の方々にも)、もう1度考えたり、見直したりする切っ掛けを提供できたなら、大変うれしく思います。
日本の飲み物
「自然」のページでも書きましたが、日本は豊富できれいな水源に恵まれた国で、特別な心配をしなくても、水道の蛇口から直に水を飲む事のできる、数少ない国の1つとなっています。(それなのに、わざわざミネラルウォーターにお金を費やす人がいるなんて、私にはいつも不思議に思えるのですが...。)
日本の水は軟水で、ヨーロッパの水に比べてミネラルの含有量が少ないと言われています。けれども、この水こそが日本の伝統的なアルコール飲料である、日本酒や焼酎、あるいはその原料である米を作るのに、実はとても重要な役割を果たしているのです。また、お茶の人気を支えているのもこの水です。ここで言うお茶というのは緑茶のことで、日本でお茶と言えば多くの場合い緑茶を意味します。
水道水やお茶、日本酒、焼酎の他にも、日本には実に様々な飲み物が存在します。先程文中に出て来たミネラルウォーターに始まって、コーヒー、アイスコーヒー、紅茶、アイスティー、ジュースの類いから最近流行りの豆乳(体に良いという事で最近人気がある、大豆で作った飲み物です)まで、数え上げたらキリがない程です。水道水を安心して飲む事ができる国も少ないでしょうが、これだけ飲み物の種類が沢山ある国も珍しいのではないでしょうか。
このような飲み物は、スーパーやコンビニ、自動販売機(日本は物凄い自販機大国でもあります。これほど自販機が沢山ある国もまた、珍しいのではないかと思います)などで売られていて、誰でも簡単に買うことができます。また、電車の駅の近くには大抵カフェやコーヒーショップが何軒もあって、自動販売機よりはちょっと値段が高めですが、ひと休みしに来た人達でいつも賑わっています。
アルコール飲料については、国産品と輸入品の両方が酒屋やスーパー、一部のコンビニなどで売られている他、バーや居酒屋で飲むことができます。ちなみに、20歳未満による飲酒と喫煙は日本の法律によって固く禁じられています。